私たちの社会では、世界の実状を学び、科学と工学によって人々の幸せを高めて行きます。日本は教育レベルの高いことで世界中に知られていますが、多くの先進国や着実に発展しつつある新興国に比べると、科学者とエンジニアの教育への集中的な投資が不足しています。私たちが立ち遅れている大きな理由の一つは、科学、技術、工学、数学(STEM)の分野へ進むことを女子生徒に奨励していないことです。
この状況を変えなければなりません。STEM分野で女性が不足すると、日本はこの先人材不足に苦しむことになるからです。それは、すべての生徒が性別にかかわらず、小学校、中学校、高校を通して、数学や科学の分野に進むことを考える適切な機会を持てるようになるまで続きます。私たちの社会を発展させてくれるSTEM分野にすぐれた頭脳を取り込もうとするならば、女性にも目を向けなければなりません。もっと多くの女性がSTEM分野で働くことは可能ですし、私たちはそれが実現するように手助けすることができます。どのようにして手助けするのか、STEM教育で日本よりもずっと先を行くアメリカの戦略を次に掲げてみます。
女子(女性)をSTEMに触れさせる
国全体が大きな成果を得るために立ち上がり、女子をSTEMの分野に触れさせ、関心を持った女子が自分の思うところに従って進むように奨励するのです。単に一定の年代層に注意を集中するだけでは、女性のキャリア選択に影響を及ぼす社会的な問題を解決することはできません。しかしながら、女子は成熟が早いという否定的な考え方を修正すれば、高校に入ったとき、女子が数学と科学を避けず、受け入れるようになる可能性があります。女性が数学や科学とは別の方向を選ばないようにするためには、女性にとって魅力的な高校・大学の数学・科学の教育環境の整備に向け、行政も教育者も真剣に取り組む必要があります。年少の男女が科学や技術に触れ、等しくこれらの科目を勉強するよう奨励すれば、これらの分野に才能があり真に関心を持った子供たちは、その関心を高めていくことができます。科学と技術はこれからも、私たちが生涯を通して達成することができるものの中で重要な要因であり続けるでしょう。
特別プログラムへの参加を奨励する
アメリカでは、女子にSTEM分野に関心を持ち続けるように促すワークショップがたくさんできて来ています。学校内外のプログラムが人気となっており、この傾向を維持するためには、女子を育成するための地域的・全国的な試みをSTEM分野の中にいる我々が支えなければなりません。数学と科学を専攻する学生にどのような機会が与えられるかを理解しなければ、若い女性たちはSTEMの専攻課程を終えるときの試練に直面したとき、自分が間違えたと考えるかもしれません。幸いなことに、女子のSTEM分野への関心を増大させることに焦点を当てた今日のプログラムはすばらしいものです。それがないと、大学でSTEMのコースを選ぶ女子の数にも長期的な影響があるかもしれません。
地域で学ぶ機会を支援する
ガールスカウトアメリカ連盟(Girl Scouts of the USA )など人気のある全国的なクラブは、女子をSTEMに触れさせることに注目するようになっています。これまでは典型的な男性支配だった分野を体験してみるように女子に刺激を与えることが重視されるようになって来ています。これは考え方が大きく変わったことを示すものです。この組織は現在、どの分野でも女子の成功を確実にする手助けとなるプログラムを強化しています。夏のインターンシップを提供する会社や民間組織は、STEMの分野に様々な可能性があることについて女子が学ぶ機会を与えてくれます。多くの企業は、今ではジョブシャドウイングやキャリアデーの機会を提供しています。ジョブシャドウイングとは、特定の分野に関心のある人が、1日又は一定の時間、既にその分野で働いている人の後をついて行くことが許される、というものです。これによって、見学者は典型的な仕事の内容や活動を知ることができ、その仕事はどんなものなのかという感覚が得られます。
良き指導者の役割を果たす
良き指導者制度の果たす役割は他に代えがたいものがあります。早い時点で良き指導者を見つけることで驚くほど自信がつき、それが仕事に満足することへと変わっていきます。良き指導者に選ばれた人は、若い人たちを成功に導く容量と能力がなければなりません。良き指導者は、テクニックや処理方法を教えるのに進んで時間を費やすだけではなく、長期的な進歩にも関心を持つ人でなければなりません。良き指導を行うことは、仕事や学校で日々得られる自信をつけさせるのにもっとも重要な方法の一つです。良き指導者とチームを組むことは、特にエンジニアリングなど男女比の割合が不均衡な労働環境で働く女性にとっては、大きな利点のあるキャリア形成上の戦略です。成功した女性の多くが、キャリアの目的を達する助けとして決め手になったのは、何らかの形で信頼できる指導者の指導を受けたお陰だと何度も繰り返し語っています。
責任を持って教育する
私たちは情報があふれた社会に住んでいて、誰でも膨大な情報源にアクセスすることができます。それらの情報源は、STEM分野に関心のある女性なら誰でもオンラインで利用することができます。女性は様々な専門分野の組織のウェブサイトを見ることもできます。いくつか挙げてみると、婦人技術者協会、国際女性技術者協会、女性数学者協会、女性科学者協会(Society of Women Engineers, Women in Technology International, Association for Women in Mathematics, Association of Women in Science)などがあります。これらの情報源は、その分野について、特定のSTEM分野の専門職になることは女性にとってどのようなものか、昇格の機会など、多くのことを学ぶのにすばらしい場を提供してくれます。インターネットの情報源は、その分野の専門家と直接コミュニケーションするほど啓発的とは言えないかもしれませんが、女性に情報を与え、成長への出発点に立たせてくれることは間違いありません。
STEM関係の職業で女性の存在感が増すにつれ、多くの若い女性が職業につく機会がさらに増えていることに気がつくでしょう。この分野に多くの女性が進出すれば、自分たちが世界のために何ができるのか若い女性にも明らかになって行くことでしょう。
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